弁護士の亀岡です。
事業者の相続人の相続放棄についてお話いたします。
被相続人が、事業をされていて、その事業が赤字、もしくは被相続人しか事業を把握しておらず、特に財産もない場合、相続放棄を選択されることはよくあります。実は、銀行から借り入れをしていた、もしくは会社の保証をしていたという場合が少なくありません。
しかし、ここで注意すべき点があります。それは、その事業は、個人事業だったのか会社だったのかです。
前者の場合、相続放棄をすればいいだけです。
一方、後者であり、被相続人以外にも取締役(一番多い例は被相続人の配偶者)が登記されている場合は、問題です。逆に、被相続人のみが取締役であれば問題ありませんが、会社法制定前は、取締役が3人いるという時代がありました。昔からの会社であれば、被相続人が代表取締役、その配偶者や親御さんあるいはお子さんが取締役というケースは意外とあります。
この場合、被相続人の相続放棄できたからそれで終わりということにはなりません。被相続人がいなくとも、取締役の登記がある以上、取締役として会社の責任を果たさなければなりません。もし、取締役としての責任を果たさなかった場合、取締役の責任追及がなされることも考えられます。取締役といっても名前だけであり、何もわからない以上責任はないのではないかとも考えられます。しかし、取締役には会社に対して忠実義務がありますから、会社の中身を知っているか否かに関わらず、責任を取る必要があります。
被相続人が亡くなる前に、会社関係の整理は必ずする必要があります。
会社を経営されている方も、そのご家族も承継問題について今のうちに考えてみてください。
当法律事務所は、相続の生前宅策のご相談も承っております。法務面だけではなく、提携している税理士や司法書士などとともに税務や登記などワンストップサービスを提供しています。